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ぼくらは直径1000光年もの巨大な星工場に囲まれていた - GIZMODO JAPAN

地球に生まれて、なんてラッキー。

あらためて、地球って奇跡としか言いようのないぐらい恵まれた環境に存在しているんですね。

ちょうどハビタブルゾーンに位置しているのもラッキー。そして、地球を含む太陽系が直径1000光年の巨大な泡のちょうど真ん中に位置しているのも、ものすごくラッキーなことみたいです。

「ローカルバブル」という名の星工場

最新の研究によりますと、太陽(そして太陽系)は「ローカルバブル」と呼ばれる直径1000光年の領域内に位置しているそうです。バブルの内部には高温ガスがきわめて低密度にしか存在していません。スッカスカです。しかし、バブルの表面には高密度の低温ガスが壁状に分布していて、これがさらに冷えると「星間分子雲」という新しい星を作る材料となります。

みなみのかんむり座、へびつかい座、パイプ星雲、おおかみ座、はえ座、カメレオン座、おうし座…。これらの太陽にもっとも近い星たちは、すべてローカルバブルの表面で誕生したそうです。言ってみれば、ローカルバブルは巨大な星工場。ですが、バブルの内側はいたって閑静で、新しい星が生まれたり、その星と衝突したりする可能性も低いのだそうです。

太陽系、そしてもちろんその中に含まれている地球は、ローカルバブル内部のきわめて安全な環境に身を置いているんですね。まるでローカルバブルに守られているかのような…!

ローカルバブル1400万年の歴史をイメージした壮大な動画
YouTube: Center for Astrophysics

ローカルバブルができるまで

ローカルバブルそのものについては、50年近く前から仮説が立てられてきました。たとえば1977年11月に「Astrophysical Journal」に掲載されたこちらの論文では、超新星爆発の衝撃波によってガスが局所に掃き集められ、高密度の星間分子雲を形成するメカニズムが提唱されています。

今回新たな研究で明らかになったのは、我らが太陽系を包み込んでいるローカルバブルがいつ、どうやってできたのかです。

ハーバード・スミソニアン天体物理観測所と宇宙望遠鏡科学研究所が共同で『Nature』誌に発表した論文によりますと、ローカルバブルの歴史は今からおよそ1400万年前に始まったそうです。数百万年の間に15件の超新星爆発が立て続けに起こり、そのすさまじい衝撃波がガスや塵を外側へ、外側へと押し出していきました。その速度、バブルが生まれた当初はおよそ秒速96.6km。今では秒速6.4kmぐらいに落ちているものの、ゆるやかな拡大が続いているそうです。

押し出された大量のガスや塵は、やがてバブルの一番外側に掃き集められ、低温高密度の「シェル」と呼ばれる殻状の領域を形成しました。そうやってシェル上に集められた星間分子雲から、近傍にあるすべての星が誕生したのです

と論文共著者のCatherine Zuckerさんは米Gizmodoにメールで説明しています。現在も星間分子雲が密集しているエリアが7カ所確認されているそうで、今後も新たな星が生まれる可能性を秘めています。

Zuckerさんはさらに

このバブルの成り立ちは、ここ数十年間に渡って理論化されてきたものでした。今回の私たちの研究は、この仮説を支える上でもっとも有力な観測証拠を提供しています

とも説明しています。一体どうやってバブルの存在を確かめたんでしょうか?

まるで探偵作業

研究は、ESA(欧州宇宙機構)のガイア宇宙望遠鏡を使って恒星までの距離と固有運動を調べたほか、超新星爆発のモデリングや、既存の3次元立体分布図を頼りに進められたそうです。「データと理論が織りなす壮大な探偵作業でした」と論文共著者のAlyssa Goodman教授はプレスリリースで語っています。

Goodman教授はデータ可視化ソフトウェア「glue」の開発者でもあり、チームは最終的にglueを使って太陽系近傍の3次元地図を作成し、こちらで公開しています。

太陽がどまんなか

ところで、なぜ太陽だけがバブルの真ん中にぽつんといるのか、気になりますよね。これは太陽がローカルバブルが誕生するもっとずっと前から存在していたから──つまり、ローカルバブル内で誕生した恒星ではないからです。

およそ46億年前に誕生した太陽は、秒速370kmで天の川銀河の中心を周回しているのですが、その軌道上にローカルバブルがあったため、およそ500万年前にバブル内に突入して現在通過中なのだそうです。

それにしても、たまたま調査したときに太陽がちょうどバブルの真ん中にいたなんて、ものすごい偶然!と素人なりに思ってしまったんですが、統計学的に考えると偶然ではなく、むしろバブルが天の川銀河内に無数に存在している根拠となるようです。

太陽がちょうどバブルの真ん中にいるなんて、どれほどの偶然なんでしょうか? もし天の川銀河内でバブルが珍しい存在だったら、ちょうど真ん中にいる可能性はとても低くなりますよね

とGoodman教授はプレスリリースで説明しています。偶然ではないと仮定すると、天の川銀河には似たようなバブルが前にも後にもたくさん連なっていて、いずれのバブルも太陽の通過点でしかないとも考えられるわけですね。

宇宙は穴あきチーズみたい?

Goodman教授はさらに

今回の研究で分かったことを例えるならば、宇宙は穴だらけのスイスチーズでしょうか。チーズの穴は、超新星爆発によってえぐり取られた空間。そして、星は穴のまわりのチーズから新たに生まれてきます

とも説明しています。わ、わかりやすい…!

今後の展望としては、ローカルバブルの近隣にもバブルが存在しているとの仮説に基づき、ほかのバブルの3次元地図の作成や、バブル同士の関係性などを探っていきたいそうです。

バブルや、それよりも大きなスーパーバブルの存在はすでに理論化されています。バブルの「壁が所々高温ガスで壊されトンネルとなって隣のバブルにつながっている」、また「銀河面に垂直な方向には煙突状の形に広がっている」とする研究も。

めまいがしそうなぐらい複雑な宇宙の話を知れば知るほど、地球が今ここに存在してくれているだけでありがたいなって思ってしまいます。

Reference: Nature, Astrophysical Journal, Center for Astrophysics | Harvard & Smithsonian, NASA, UC Berkeley, 天文学辞典

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